「安全」を吹聴しながら、漏洩時の解決策は未定
伊方原発の乾式貯蔵について審査した第12回規制委員会の直後の会見で、原子力規制委員会の更田委員長は「乾式の方がプールに置くよりもはるかに安全」と語りました(6/25愛媛新聞報道)。しかし、6月24日の審査場面では、キャスクから放射能が漏洩した場合の解決策は未定であることが明らかになっています。
左)愛媛新聞6/25記事と規制委で自問自答する更田委員長のコラージュ
6月24日の審査の最終盤、更田氏はキャスクの「負圧が維持できなくなったときはどうするのか?」と問いかけます。規制庁職員は「水中で・・・」と応えます。更田氏は「その移動って、原子炉建屋に戻っていくという形になる・・・」、「極めて特別なケースであろうけれど・・・、その時の輸送手段について何か考える・・・、まあ事例が今までにないだけに、なんとも言えないですけれど。」と自問自答しつつ、自ら発した疑問を封じ込めてしまうのです。これらの映像は、規制委員会のホームページから見ることができます。https://www.youtube.com/watch?v=IuIKfqtpyC0
規制委で「初めて」としてパブリックコメントに
伊方原発の乾式貯蔵施設設置申請についての審査書(案)は、原子力委員会と経産大臣の意見聴取に送られました。同時に「原子力規制委員会として初めての兼用キャスクによる使用済み燃料の貯蔵、あるいはサイト内貯蔵施設」であるので、パブリックコメントを行うと決まりました。
パブリックコメントは6/25から7/24(金)まで行われています。案件番号 198020203です。当ホームページ末尾、または右枠ウィジェットにも、関係書類を読めるようにしてあります。
審査書(案)は、「地震による損傷の防止」一つをとってみても、広島高裁が-設置許可基準解釈別記2の定め及び地震ガイドの「特別の規定」において、震源が原発の敷地に極めて近い(2km以内)場合の地震動評価を行っていない―と指摘したことを完全に無視しています。そうして、地震調査委員会(2017)を踏まえても既設許可申請の基準地震動に変更はないと結論づけています。三次元地下探査も行わないままです。まさに欠陥審査です。審査書(案)をチェックしパブコメでの指摘が急がれます。