伊方原発定検再開にあたっての抗議声明

伊方原発の定検再開にあたり、知事と四国電力に強く抗議し一日も早い廃炉の決断を求める声明

8月3日、中村時広愛媛県知事は四国電力の長井啓介社長と面談の上で、1月の一連の事故により中断に追い込まれた伊方原発の定期点検の再開を承認すると表明した。そして本日、四国電力は定期点検を再開した。「伊方原発をとめる会」は知事と四国電力に強く抗議する。

報道によれば、知事は承認に際して安全性の向上などの7項目を四国電力に申し入れたとのことであるが、知事自身が述べているとおり、県民の事故への不安と四国電力への不信感はいまだ払拭されていない。この時点において定期点検の再開を認める必要性は全くなく、ひたすら原発再稼働をめざす四国電力の意向を斟酌した言動としか思えない。

中村知事は伊方原発環境安全管理委員会の記した5項目の他に、「県民の信頼回復について」と「安全性の不断の追及」の2項目を加えている。しかし、「県民の信頼」と言いながら、使用済み燃料プールが43分間冷却途絶したことを県民やメディアに伝えなかった問題には全く頬被りのままである。また、「安全性の不断の追及」については、伊方3号機が全外部交流電源を喪失した根本に、摸擬負荷を用いなかった四国電力の対応があったのだが、この点にも知事は一切触れようとしない。1万回使用可能としていた断路器が350回程度で壊れた問題も設計から見直すべきだ。「信頼」も「安全」も不十分なままに、知事は定検再開を承認したのである。

県民の健康と生命を守ることが最大の責務である県知事として考えるべきは、原子力発電がそもそも必要であるのか否かの検討である。原発はひとたび過酷事故が起これば取り返しのつかない被害を、それも県域を超える広大な範囲にもたらすことは、フクシマ事故で自明である。

それにもかかわらず、四国電力は本日5日午後、定期検査を再開した。私たちは、四国電力ならびに知事の対応に厳しく抗議するとともに、停止中の伊方原発を再稼働することなく廃炉を実現するために力を尽くす決意を表明する。

                              2020年8月5日  

                              伊方原発をとめる会