2月24日(木)、14時半より松山地方裁判所にて第28回口頭弁論が行われました。18席の傍聴券を求めて63名が抽選の列に並びました。原告席には16名が入りました。
裁判長による双方の書面についての確認作業のあと、原告2人による意見陳述が行われ、次回第29回口頭弁論期日が6月21日(火)14時半と告知されて閉廷となりました。
この里山で 障害ある娘が安心して暮らせる社会を (平谷敬子さん)
平谷敬子さんは、「日本のどこにでもある里山」である東温市で、障害をもつ娘さんが親亡きあとも安心して暮らせる社会を目指して活動をしてきたとし、福島原発事故を起こした日本で原発の再稼働はあり得ないと伊方訴訟の原告となった経緯を語り、「伊方で事故が起これば、子どもたちはどうやって避難するのか。大熊町の双葉病院の悲劇がまた繰り返さるのか」として、二度と放射能によって苦しみ悲しむ人々をつくらないために原発をとめてほしい、司法が誤った方向に向かっている国を正してほしい、と真摯に裁判官に訴えました。
元・土木技師として、また労働者の立場から原発の危険を訴える(宇都宮理さん)
松山市在住の宇都宮理さんは、元・県職員であり現在も労働組合の役員を歴任している立場から、原子力発電が住民だけでなく関係するすべての労働者の生活や生命を脅かす存在であることを、様々な事例を挙げて訴えました。そして、県職員はふるさと愛媛の空と海と大地を守り、住民の生活と生命を守ることが最も大切な仕事であるので、その立場からも原発の存在を認めるわけにはいかないとし、裁判官に是非とも正しい判断をしてほしいと意見陳述をしめくくりました。
記者会見・報告集会
15時半から2番町のR-2番町ビル会議室にて記者会見、報告集会を行いました。
1.弁護団からの発言―6月から新裁判体に 今度こそ判決を期待する
先ず、中川創太弁護団事務局長より、新しい裁判体に是非判決を書いてもらいたいと考えているので、6月には「従前どおり」との儀式的なものでなく口頭での実質的な弁論更新を予定していることが述べられました。
また、薦田伸夫弁護団長は、提訴以来、裁判体が4回変わっていること、今の裁判体による判決を希望していたが、果たされなかったことから、6月からの5番目の裁判体には今までの経緯をきちんと理解してもらった上で判決を書いてもらいたいとの説明がありました。更に、この31号法廷は最初の伊方1号炉訴訟(1973年8月提訴、78年4月判決)が闘われた法廷でもあり、弁護団としても精いっぱい努力したいと強い決意が語られました。
2.意見陳述者の感想
また意見陳述を終えた平谷さん、宇都宮さんから感想が述べられました。
平谷さんは、「どんなに頑張っても何も変えられない」との無気力感があったが、今回、意見陳述を引き受けて、改めて関連の書物なども読みかえし、「国民が黙ったらそれまで。だから発信する」との言葉に接して、改めて「ダメなことはダメ。嫌なことは嫌」ということの大切さを思い出したと述べました。
宇都宮さんは、「今日の陳述は四国電力の人たちに聞かせたかった。年末にあった愛媛県での鳥インフルエンザの防疫業務での過酷作業に鳥インフルでもこれほどの防護をするのかと驚いたが、原発事故では放射能という目に見えない相手と命を懸けた闘いとなるのだから、その現実を彼らに一番知ってもらいたかった」と述べました。
3.同席弁護団からの発言
定者吉人弁護士は「10年前から松山の伊方裁判には広島から通っている。この行為が伊方原発に対して、このままではいけないと自分を奮い立たせる機会でもある」と述べ、また高田義之弁護士も「世の中の動きは一歩進めばまた後退するの繰返しで失望することも多いが、人間の理性は進歩すると信じてやっていきたい。共に頑張りましょう」と、それぞれに熱い想いが述べられました。
4.会場からの発言
会場からは、「福島事故への反省もなく、3号機で使用するMOX燃料24体をフランスで新たに製造する方針を発表した、との報道があり怒りを感じる」、「蓄電技術は発展している。大きな運動の方向として蓄電も考えるべき」、「四電は今までの技術すら使いこなせていない事故例が多くて心配だ。お金がかかっても安全第一でやってもらいたい」等の意見や感想が述べられました。