3月14日、松山地方裁判所にて第32回口頭弁論が行われた。原告席は弁護士7人、原告25人の32席が埋まった。一般傍聴席には39人の希望があり裁判所側の抽選で37人が傍聴を許された。が、当選しながら、今回も四電関係者と思われる数名が傍聴券を受け取ったのちに裁判所から立ち去るのが目撃されて残念なことだった。
今回は弁護団から2つの準備書面103(地震関係)、104(火山関係)が提出され、北村親雄さんと垂水正和さんの原告2人の意見陳述が行われた。
準備書面103 準備書面(103)地震ガイド改正についての反論
準備書面104 準備書面(104) 火山(Y準26反論)
次回の裁判期日は4月20日(木)13時半開廷と決まった。
原告の意見陳述
妻の遺志を受継ぎ息子と新たに原告となる 北村親雄さん(松山市在住)
楽器製作業の北村さんは昨年の1月に伊方原発運転差止訴訟の原告だった妻を亡くされ、その遺志を継いで第6次提訴で長男と共に新しく原告となった。北村さん自身、3・11直後の3月12日に親の介護で移住していた長野市でマグニチュード6.7、震度6強の長野県北部大地震を経験した。全国で大規模地震が頻発している。「一人も取り残さない」避難ができないならば今すぐ原発の運転を止めなければならない。命の尊さは何ものにも代えがたい。次世代への責任として、原発の廃炉を求めるとして、裁判官には熟慮を重ね倫理に基づく後世に誇れる判断をしてほしいと強く訴えた。
意見陳述PDF 230314北村親雄さん意見陳述書
宗教者として 命を脅かす原発に反対する 住職・垂水正和さん(松山市在住)
チェルノブイリ原発事故の1年後に甘蔗珠恵子著「まだ間に合うのなら」という小冊子を妻から是非読んでと渡されたことがキッカケとなり、夫婦で原発問題の学習を深めていき、寺として脱原発に本格的に取組むようになった。檀信徒向けに寺報を発行し、チラシ作成のため大型コピー機を導入、寺の伝道掲示板や手づくり幟旗で原発の危険性を訴え続けている。また会議や学習会等に本堂を開放している。3・11に遭遇し、しばし茫然自失状態になった。が、多くの先人に続き、「核兵器も原発も地球上に存在してはならない」という「絶対に譲れない真実」を掲げて今後も前に進むつもりだ。国が誤った方向に動く今、司法が正しい判断を下すしか原発をとめる手立てはない、と裁判官らに熱く訴えた。
意見陳述PDF 230314垂水正和さん意見陳述書
記者会見・報告集会
16時前から県美術館講堂で、中川創太弁護士、広島の定者吉人弁護士、原告の北村さん、垂水さんが壇上にあがり報告集会が行われた。
中川弁護士は当日の口頭弁論について、①進行協議(原告・被告・裁判所の三者の非公開の協議)で、証人採用ついて被告側との攻防があり、1月段階では原告側10人の申請に対し、他の裁判所で申請していない証人のみ採用との判断になりそうだったが、「直接に証人から話を聞いてほしい」と強く要望した結果、2月の進行協議で9人が認められるに至った、②4月に予定の進行協議では、その9人の証人の出廷の順序決めに焦点が絞られる、③被告側の証人は4人(専門家・四電従業員、各2人)の予定、④次回、4/20 の裁判では福島原発事故避難者の渡部寛志さんと伊方町二名津の養蜂業・長生博行さんの2人に対する主尋問120分、被告の反対尋問30分、裁判所の補充尋問が予定され、13時半から17時頃となる予定、⑤このあと5/23、 6/20、と日程が決定した。7月以降も11月まで毎月の裁判となる。午前午後と連続しての開廷もありうるため、原告・支援者の傍聴への一層の協力が必要になる、との解説があった。
原告の北村さんは「今回、初めて原告席に座って意見陳述を経験した。時系列的に自分の体験をまとめるいい機会になり、改めて先人の素晴らしい闘いに接して、こみ上げる想いがあった」と感想を語った。 同じく垂水さんは「寺門の角の『原発をとめよう』と大書した幟旗を市の職員が交通の妨げになると言ってきたことがあったが、『原発を除けてくれたら旗も除けます』とかわした」とユーモアを交えて感想を語った。
定者弁護士から、「3号機運転差止訴訟もここまでよく漕ぎつけたと身の引き締まる思いがする。とりあえず11月まで共に頑張りましょう」との挨拶があった。
会場からは「心に染みる意見陳述が行われている最中に、原告席の目の前で被告代理人が居眠りしたりチケットのようなものを眺めたりしていた」「一般傍聴券を引き当てながら傍聴せずに帰る数人の四電関係者らしい人がいた」などの目撃情報の紹介があった。
報告集会は、須藤昭男事務局長の挨拶で閉会した。