「四電は3次元探査をせよ」「火山の破局的噴火に備えよ」
原告側証人 専門家2人が圧巻の証言
6月20日(火)、松山地裁で第35回口頭弁論が行われた。今回は午前、午後と長時間に及ぶ口頭弁論だったが、裁判所による一般傍聴券(37席)を求めて、9時15分から9時半迄の抽選に約120人もの人々が列に並んだ。弁護団からの強い要請に応えたとめる会の広報活動が成果として表れた。
裁判所前の歩道では、香川から駆け付けて下さった尾崎宗璋・憲正さんご兄弟制作による大きな2連のクジラやミニ横断幕が、通行人や車に効果的なアピールとなっていた。
原告席には、原告代理人の薦田伸夫弁護団団長、中川創太弁護団事務局長、高田義之弁護士、今川正章弁護士、東翔弁護士の松山陣に加えて、広島から橋本貴司弁護士と定者吉人弁護士、山梨から中野宏典弁護士が席に着いた。また20人弱の原告も着席。
当日配布の資料(2頁に芦田証人、町田証人の略歴あり) 000第35回口頭弁論資料4P
「四電は3次元探査をせよ」と芦田譲証人
10時開廷の午前の部は、物理探査の専門家である芦田譲京都大学名誉教授に対して、原告側の橋本弁護士により約90分にわたる証人尋問が行われた。芦田証人は伊方3号機の基準地震動650ガルは2次元探査(人体でいえばX線診断の平面図)のみで策定されている。これは、最新の科学的・技術的知見を踏まえておらず非科学的で安全を担保していない。最先端の調査手法である三次元による地下探査(人体でいえばMRIやCTスキャン診断の立体画像)を伊方原発敷地内で行うことが必須であると証言した。
被告四電側の田代代理人の反対尋問は、前回と全く同じ手法で、証人の知識や経験、信頼性を失わせようとする印象操作の類の「~は知っているか」「実際に行ったか」調の尋問が約30分(予定は45分)続いた。芦田証人はこれらの尋問に「(四電内部の資料は)読める立場にない」等と冷静沈着に応じた。さらに原告側からの再質問、裁判官による補充質問があり、午前の部は12時15分過ぎに終了した。
「火山の破局的噴火に備えよ」と町田洋証人
午後の部は13時15分に開廷。火山学者の町田洋東京都立大名誉教授に対して、原告側の東翔弁護士、続いて中野宏典弁護士の二人が約90分にわたり証人尋問を行った。この尋問の中で、第四紀(約9万年前)に起こった阿蘇カルデラの爆発的噴火のテフラ(火山灰などの火山砕屑物、堆積物)が、伊方原発の敷地直近(九町と神崎)で見つかっていて、しかもその厚さが100cmもあったという新たな重要証言があった。伊方原発周辺では火山灰などが発見されていないとする被告四国電力側の主張を突き崩すものであった。町田証人は福島第一原発事故の事例――貞観津波の堆積物が事故前に見つかっていたが、発生可能性が低いと東電は対策を講じなかったーーを引合いにだし、この教訓からも伊方原発は火山噴火に備えるべきであると証言を締め括った。
町田証人に対する反対尋問も、午前と同じ類の尋問で40分余り(予定90分)続いた。田代代理人の「凝結溶岩がどのように出来ると認識しているか」との尋問に対しては、町田証人はまるで大学の講義をするように学者然として諭すように回答された。
裁判官による補充尋問では、火砕流が海を越えて伊方まで到達した過程における「海面上を断熱的に」との表現の説明が求められた。証人は、メカニズムについては解明されていないとしつつ、海水との接触面で奪いきれない程の熱量があって、火砕流の比重が軽いことに加え、海面上を「速いスピード」で滑るように移動する場合を説明し、阿蘇カルデラの破局的噴火に伴う可能性が証言された。
証人尋問は16時過ぎに終了した。裁判終了後に参加者は裁判所横の通路で短い締め括りを行った。
なお、次回の第36回口頭弁論は以下の通りです。是非ご参加下さい!
8月22日(火)10:00開廷(16:30閉廷見込み)
証人尋問
被告側 松崎伸一氏(四国電力土木建築部⾧)
〃 森伸一郎氏(愛媛大学教授、地震工学)