アメリカで核についての議論を巻き起こすキッカケにと制作
9月24日、伊方原発をとめる会の主催で松山市内・コムズで上記の上映会を行いました。午前10時と午後1時半からの上映会に、86人の参加がありました。
この映画は、ドキュメンタリー映画監督・伊東英朗さん(愛媛県久万高原町出身)が、アメリカ各地でネバダの核実験による被ばく者、研究者など30人に直接インタビューするとともに、現地で入手した4000頁を超える文書を参考に、現在もなお続くアメリカ大陸の放射能汚染の実態を明らかにしたものです。核実験の放射性降下物がオウン・ゴールでアメリカ各地に被ばくをもたらした事実をアメリカの人々に知ってもらいたい、そして核保有国であるアメリカで核について議論する機会を作り、議会でこの問題を取り上げてもらいたい、というのが監督の願いです。
当日は、関東方面に出張中の伊東監督からのビデオによる挨拶に続いて、加藤登紀子さんのナレーションによる日本語版「サイレント フォールアウト」が上映されました(英語版ナレーションは俳優のアレック・ボールドウィンさん)。
13万余円を伊東事務所へ
上映後、多くの方々からカンパが寄せられました。これに漫画「放射線を浴びたX年後」、乳歯運動で使われたピンバッジをデザインしたトートバッグなどの物販、参加者からの資料代などを合わせて13万余円を、伊方原発をとめる会から伊東監督への支援金としてお渡しすることができました。ご協力を有難うございました。
アメリカ各地の国際映画祭で上映に
10月8日のハンプトン国際映画祭(ニューヨーク州)での公式上映に引き続き、11月のセントルイス国際映画祭でも同じく公式上映されることになりました。なお、セントルイスは映画で紹介された乳歯運動発祥の地です。
伊東監督の想いは参加者に確かに届いて
感想アレコレ
A: 1時間半近い時間、ずっと画面に惹き付けられた。表現上不適切かも知れないが、面白い映画だった。重大な社会問題を題材にしながら、とても「面白かった」。
B: 放射能の影響の広さ・恐ろしさを知った。乳歯を調べたお母さんたちの運動は初めて知った。福島の汚染水投棄の怖さを思い浮かべながら、映画を見ていた。漁民や福島県民が納得すれば投棄も可のような発言が聞こえてくるが、許されないことと思う。福島でも乳歯の調査などで反撃できないのだろうか?ともかく良かった、立派だった。
C: ようつくったなぁ、作り手の執念に驚嘆、アメリカ市民に見せたいとの強い思いが伝わって来た、プロパガンダ色が全く無く、事実をきっちりと見せてくれた。
D: これまで放射能汚染問題に全く無知無関心だったが、これを見て核実験がいかに大気汚染をするか、また非難されながらも社会に訴えた母親たちの運動がついには政府を動かした歴史を知って驚いた。X年後の福島はどうなるのだろうか。
E: 「放射線を浴びたX年後」の1も2も見ていないで、いきなり3を見た(隣の人が買っていた和気一作さんの漫画本をパラパラと途中までは見たが)。監督の調査力が凄いなあと思った。放射能の影響が乳歯に残っているとか、それを調べて大気圏内の核実験中止にまで追い込んでいったことはアメリカでも日本でも知られていないのではないか?自分も知らなかった。
F: 「一番辛いのは自分の国の政府が、自分の家族を殺したということです」と幼い娘を失った女性が声を絞り出すように言った言葉に、核実験は「一体、誰が、何のために行ったのか」「誰が得をするというのか」と、心にドスンと響いた。
G: 映画が完成する前の、とめる会主催の「ミニ学習会」(1月24日実施)での「映画を通して事実を伝えたい」との伊東監督のお話があまりにも強烈で、この人は映画作りに生命を削ってでも取り組む覚悟なのだなと知りました。1月2月と、夜に監督のオフィス前を通過する機会があったのですが、いつも明かりがついているのは、監督のオフィスだけ。あの中で作業しているのだなと思いながら通過しておりました。
そして出来上がった映画は、監督のお話したとおりの迫力でした。アメリカでこの映画を上映したい、という監督の思いが現実となってきていることを知り、アメリカでの反応はどうなのか?拒絶されるのか?受け入れられるのか? 多くのアメリカの人々が、核の恐ろしさに目覚めてほしい、そして世界の人々と共に核廃絶をともに闘ってほしいと思います。 追伸:会場で売られていた漫画版の「放射線を浴びたX年後」は素晴らしい出来栄えです。私は東京夢の島の第5福竜丸の展示館でこの本を見つけて購入、1月に伊藤監督にサインしてもらいました。