福島を忘れたのか 原発回帰は断じて許されない!四国経済産業局へ申入れ 

第7次エネルギー基本計画(案)の発表を受けて

三好一弘電源開発調整官に申入書を手渡す須藤昭男事務局長

 12月17日、経済産業省の「第7次エネルギー基本計画」の原案が発表されました。その内容は、東京電力福島第⼀原子力発電所事故以降「可能な限り原発依存度を低減する」とあった文言を削除し、原発を「最大限活用」、2040年度の電源構成に占めるの割合を「2割程度」とすると、原発回帰の姿勢を鮮明にするものでした。

 伊方原発の廃炉、再生可能エネルギーへの転換を求めてきた「伊方原発をとめる会」として、とうてい容認できるものではありません。黙ってはいられない、経産省に抗議して撤回を申入れるべきだと、急きょ申入書を作成し、12月26日、高松市の四国経済産業局資源エネルギー環境部に出向きました。

申入れ会場の様子、4県それぞれの地方紙の記者の取材も入って

 申入れに参加したのは四国4県から計16人。愛媛からとめる会事務局6人、香川8人、高知1人、徳島1人でした。案内された高松サンポート合同庁舎内の会議室で、須藤昭男とめる会事務局長から、武藤容治経済産業大臣あての「原発復権の危険なエネルギー基本計画(原案)は撤回して見直し、再エネを徹底活用するよう求める申し入れ」を、応対に出た三好一弘電源開発調整官に手渡しました。

 この申入れには、四国4県の地方紙(愛媛新聞、四国新聞、徳島新聞、高知新聞)他のマスコミの取材もありました。

 申入れ書では、「エネルギー基本計画原案は、福島原発事故の教訓を投げ捨てるもの、断じて容認できない。放射線障害の深刻な事実からも一刻も早く原発依存をやめるべき。伊方原発は二重に巨大地震の脅威にさらされている。原発の停止・廃炉をすすめ、再生可能エネルギーの拡大に最優先で取り組むよう求める」として、以下の3点を要請しています。
 (1) 「エネルギー基本計画(原案)」を撤回して見直すこと。
 (2) 再生可能エネルギーを捨てることなく徹底活用すること。
 (3) 原発なしで災害に強く、被災時には切り分け可能な配電網にすること。
 ※経産大臣宛申入れ文書   241226経産大臣宛申入れ

 私たちの申し入れのために用意された時間は1時間、和田宰事務局次長が準備した資料をもとに、伊方原発の地震の危険性、放射線被ばくの問題、能登半島地震の被害、県民世論調査、再エネ導入のための新技術などの説明を行ったあと、参加者それぞれから原発推進に向かう基本計画案への批判が述べられました。一部をご紹介します。

  ※当日配布の資料はこちらから 241226経産大臣申し入れ時の資料 

参加者からの発言

 「能登半島の地震、水害、雪害を見れば、災害列島に原発は狂気の沙汰。福島事故の被害者の話を聞き、甲状腺がんの治療の過酷さを知れば、原発依存は愚かなこと、情けない、間違った政策であり見直しを。一刻も早く原発は廃炉に。」

 「原発の古い技術に依存していてはダメだ、蓄電池、太陽光など、再エネに投資して技術開発をすれば、新しい産業が起きる。」

 「また大地震が起きたらどうなるのか。巨大地震の被害は完全には防げない。」

 「老朽原発は危険。廃炉にも莫大な費用と時間がかかる。使用済み核燃料・原発解体後のの始末に何万年もかかる。合理的に考えれば原発推進からは引き上げるべきだ。」

 「戦争のリスクもある、原発は人類の手に負えない、一刻も早く撤退を。」

 「なぜ、事故に学ばない、反省しない、もう一度福島のような事故が起きれば日本は滅ぶ。」

 「2050年カーボンニュートラル宣言は国際的な公約だが、2040年に再エネ40%から50%ではゴールに届かない、不可能だ。世界中を欺くことになる。]

 「省エネは進んでいる、電力需要の見直しは間違っている。」

 「AIが普及しても電力需要は急増しない、それを原発でまかなうというのはおかしい。」

 「パブコメをして、国民の声をエネルギー政策に反映したことがあるのか。」

 「地元の声を聞くといいながら『汚染水』は垂れ流している、どういうことか。」

 「原発は国の未来を暗いものにしている。」

 「企業は、公害を出さないのが基本、クリーンなエネルギーに徹し、原発からは足を洗わないといけない。」

 「原発を地元は喜んで受け入れているわけではない。苦渋の選択だ。愛媛県知事も脱原発が理想だと言い、八幡浜市長は『将来的には脱原発へ向け立地地域にリスクの少ない効率的な発電システムについて研究を進めるよう国に求めること』を条件に住民を説得しての再稼働容認だ。福島事故の被害者、原発立地の住民の気持ちを考えたことはあるのか。」

 参加者の一人から、この場では双方向の話がしたい、担当者からも発言をと促され、担当官は311後の自身の経験を語り、「原発事故を二度と繰りかえしてはならないと思う」、「多様な人の話を聞くことが原発には大切だ」と述べるなど、思いのほか誠意のある対応で、丁寧に私たちの話を聞いていましたが、「みなさんの意見をしっかりと本省に伝える」と何度も繰りかえすのみでした。

 経産省は、「国民とのコミュニケーションを大切にしています」「国民から広く意見を聞いた上で計画を策定しました」と、この申入れもアリバイづくりの一つに利用するのだろうかと気がかりです。私たちの意見を真摯に受け止めれば、原発からの撤退しかないはずなのです。

 私たちが申入れを行った翌日の12月27日、資源エネルギー庁から、第7次エネルギー基本計画(案)に対するパブコメ募集が発表されました。締め切りは2025年1月26日(日)です。「広く国民の皆様から御意見を頂戴」したいということですので、ぜひ皆さまの声を届けてください。

 第7次エネルギー基本計画(案)に対する意見公募要領はこちらから

  https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000285100

パブコメ意見募集要領