不当判決「司法は義を失い 民は滅ぶ!!」

 3月18日14時半、伊方原発3号機の運転差止訴訟の判決がありました。松山地裁・菊池浩也裁判長は、原告の訴えに対し、「原告らの請求はいずれも理由がないから棄却されるべきである」との、司法の責務を放棄した、全く行政追随の判決を言い渡しました。

裁判官の写真は「脱原発弁護団全国連絡会」ウェブページより転載

 

 

 

 

 判決直後、強雨の中、伊方原発をとめる会の須藤昭男事務局長は、「司法は義を失い 民は滅ぶ!!」と不当判決に抗議する垂れ幕を掲げました。
 この判決に対し、原発をとめる弁護団と伊方原発をとめる会は、以下の声明を発表しました。 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

                       2025年3月18日

     伊方3号炉松山地裁判決についての声明

                      伊方原発をとめる弁護団
                      伊方原発をとめる会 

1.本日,松山地方裁判所(裁判官:菊池浩也,東根正憲,坂井夏生)は,四国電力の伊方原発3号炉について,運転差止を求めた原告らの請求を棄却した。福島原発事故の悲劇を二度と繰り返してはならないという原告らの願いを踏みにじるとんでもない判決である。また,本判決は,原子力規制委員会の許可を得た原発は不合理な点が認められない限り安全性を具備したものといえるとしており,行政に追随し,司法の役割を放棄したものと言わなければならない。

2.まず,司法判断の在り方について,本判決は,本年2月21日の川内原発に関する鹿児島地裁判決,3月5日の伊方原発に関する広島地裁判決と同様,原子力規制委員会の定める新規制基準は社会通念を具体化したものであるとした。立証責任については,被告側に具体的危険がないことの主張立証を求めながら,実際の判断に当たっては,極めて安易に被告側の主張を認め,事実上,原告らに危険の立証を求めるものといえる。

3.しかし,福島第一原発事故は,自然の脅威,科学の不定性を軽視し,原子力規制行政が判断を誤った結果として発生した人災であった。本判決の枠組みでは,原子力規制行政に極めて広範な裁量が認められることになり,次の福島第一原発事故を防ぐことができない。そのことが,この判決の不当性を端的に物語っている。

4.伊方原発は,我が国最大の活断層である中央構造線を無視して建設された原発である。伊方1号炉は,中央構造線の存在を無視して建設され,伊方2,3号炉は,中央構造線が活断層ではないとして建設された。「大きな事故の誘因」がいことを立地条件とする立地審査指針により,本来設置が許可される筈のない原発なのである。能登半島地震が逆断層の地震によって陸地が隆起した地震であったように,佐田岬半島は逆断層の地震によって形成された半島であり,伊方原発が,その逆断層の上盤に立地していることを専門家の証言によって立証したにもかかわらず,本判決は,その証言を吟味することなく,四国電力の主張を丸呑みしてしまった。

5.火山事象に対する安全確保の有無について,本判決は,火山活動の危険について社会通念上無視し得るといえるかどうかの判断も原子力規制委員会の科学的,専門技術的知見に委ねられているとしている。これは,鹿児島地裁,広島地裁判決と同様,行政の判断を事実上無条件に追認するものであり,司法判断の体を成していない。また,本判決は,町田洋氏,巽好幸氏という世界的に著名な専門家の証人尋問で得られた,マグマ溜まりがないことを正確に把握することは困難である,阿蘇4火砕物密度流が本件原発に到達したと考えられるとの証言を正面から否定し,阿蘇の地下浅部に大規模マグマ溜まりはない,阿蘇4火砕流は本件原発敷地に到達していないなどと認定している。専門家の証言を無視するもので科学的に誤っているし,科学の不定性についても全く理解していない判決というほかない。

6.しかも,事故が発生した場合には,佐田岬半島側に居住する5000人近くの人々が避難出来ないことは明らかであるが,本判決は,事故が起きる具体的危険が認められないから,避難の必要性はないとして,避難計画の合理性の有無について検討さえしていない。

7.私達は,本判決を到底認めることは出来ない。速やかに控訴して,高松高等裁判所での逆転勝訴を勝ち取るつもりである。
                             以上

弁護団&とめる会の声明(松山地裁判決20250318)

20250318判決要旨

250318判決正本