県へ申し入れ・航空機衝突問題と原子力安全対策推進監の態度で

150402koukukimosire4月2日、伊方原発をとめる会は愛媛県知事に対し、「伊方原発への航空機衝突に関する四国電力答弁を訂正させ、航空機落下問題で『想定外』を作らないよう求める申し入れ」を行いました。草薙順一事務局長、共同代表の一人である須藤昭男、そして事務局の、大原英記、中尾寛、島本保徳、和田宰が参加しました。県側は原子力安全対策課の課員3名が対応しました。

申し入れ文書はここから→ 150402知事あて航空機衝突
写真は、四電の国への提出資料と、USNRC(米国原子力規制委員会)資料などによるコラージュ

申し入れ内容は、3月30日の愛媛県伊方原発環境安全管理委員会で、四国電力の担当者が、航空機が衝突の際、原子炉格納容器に多少の損傷はあるが原子炉容器までの影響はなく、核燃料は安全に冷却できる旨回答したことに関してです。実際には、伊方原発に航空機が直接衝突する検証はしておらず、原発施設の近傍に落下した場合の「火災の影響評価」がなされているだけです。しかもこの重要な問題で、原子力安全対策推進監がなんら訂正の措置をとらなかったことも重大な問題です。私たちは、下記3項目を申し入れました。
(1) 航空機と伊方原発の衝突が分析されたかのような四国電力の説明の訂正を求め、正確に事実を伝えさせること。
(2) 再稼働せず廃炉に向ける中でも、航空機の落下・衝突に関する分析は重要であり、直接衝突の対策も含め、国と四国電力に検討を求めること。
(3) 原子力安全対策推進監に対し、専門的立場から県民の命と暮らしを守る立場で、国や電力会社の態度に拘泥されず、職責を果たすよう、知事自ら指導すること。

新たな「秘密主義」と「安全神話」が

この日の申し入れに、原子力安全対策推進監は出席せず、対応した課員らは知事に伝える旨回答しました。ところが、課員の内から(1)に関し「テロによる原子炉格納容器などの大規模損壊の審査は非公開である」、「損壊があって放射能の漏れがあったとしても、国がそれに対処するといっている」旨の主張が繰り返しありました。これでは、テロ対策に関わる大規模損壊だから公開されない。国が対策するのだから信じろといっているに等しいものです。県自ら、新たな秘密主義と安全神話に絡め取られていると言わねばなりません。
「米軍の大型ヘリが伊方原発の直近に墜落した事実があるがそれはテロなのか」と問うと、当該課員は、それは「テロではなく事故だ」との旨返答。私たちは、偶発的事故で直接衝突の可能性はゼロではないのだから、伊方原発について直接検討すべきだと知事に伝えるよう求めました。

申し入れの最後に、草薙事務局長が「四国電力の回答が他国の事例を基にした一般論として認識していたのですね」と課員らに確認すると、そのとおりと答えました。このことは、原子力安全対策推進監の態度だけでなく、県の姿勢の根本に問題があることを示しています。
なぜなら、県民の命とくらしにかかわる重要な検討が行われていた場面です。その議論において、伊方原発に直接衝突の分析なのか、外国の話での一般論なのか、混同や誤解が生じる発言があっても、その問題性に県庁職員はだれも気付かない。あるいは気付いても訂正や修正、議論の補強をしようとは思いつかなかったということです。
この点も含めて、知事は、職員に対し、真剣に県民の方に顔を向けた姿勢を貫くよう指導すべきです。