小松講演は新たな知見示す(第6回定期総会で)

161009komatumasayuki

10月9日、伊方原発をとめる会は第6回定期総会を開催し120名が参加しました。冒頭、草薙順一事務局長は、伊方原発3号機が再稼働されたことは、まさに国民にとって「侮辱」であるとし、原発廃炉のために運動を展開すると挨拶しました。

記念講演では、小松正幸さん(愛媛大学名誉教授、元愛媛大学学長)が講演しました。小松さんは、別府湾での多くの機関による綿密な調査、海上保安庁水路部や四国電力の規制委員会への提出資料を活用して、伊予灘で地震を起こすポテンシャルをもっているのは、沖合の中央構造線活断層帯ではなく、沿岸すれすれに佐田岬半島から九州にかけて存在する中央構造線本体であること、この中央構造線が活動を繰り返していること、さらに、今度の熊本地震の考察から、四国から九州一帯の中央構造線および関連する大分-熊本構造線は新たな活動期に入ったと語りました。すなわち、伊予灘においては、5〜3百万年前、右横ずれ正断層によって形成されたハーフグラーベン(半地溝:ずれ落ちることによる非対称な溝の形成)に厚い堆積層(下部層)が形成され、その後、圧縮応力場で下部層は褶曲し、逆断層が形成された時期がある。その後現在に至るまで、斜め圧縮場の横すべり断層運動によって、高角度の横滑り断層が伊予灘沿岸部に形成されているのではないか。このことは別府-島原地溝(ハーフグラーベン)の南縁に今回地震を起こした高角の布田川断層(大分-熊本構造線)が形成されたことと軌を一にするもので、伊予灘沿岸すれすれに高角の横ずれ断層が形成されているとすれば、この断層によって起こる地震はまさに直下型であり、その被害は甚大であろう。最近の研究によって、この一連の運動は、南海トラフに沈み込むフィリピン海プレートの沈み込み方向や速度が時代によって場所によって変化しているためであることが分かっている。したがって、佐田岬半島沿岸周辺の詳細な探査を行い、高角断層の有無を確認することは必須であり、これなくして再稼働はあり得ない、と強調しました。
すでに、小松さんたちは、今年6月、原子力規制委員会に対し「佐田岬半島の地球物理学的調査」を要請しています。さらに9月の日本地質学会学術大会で、「伊予灘ー別府湾地域の中央構造線の位置と第四紀テクトニクス、および伊方原発周辺の地震ポテンシャル」と題した講演を行い、多くの専門家の賛同を得たとのことです。

総会では、この一年間の取り組みが報告され、決算・会計監査報告ともに承認されました。また、共同を広げ、新たな署名運動の展開などを含む2016年度方針、役員、予算案も決定されました。