広島地裁が不当決定(伊方差止仮処分を却下)

3月30日、広島・愛媛の住民4名が広島地裁に申し立てた伊方3号機運転差止仮処分が却下されました。危険な原発の運転を容認する不当な決定です。(写真は広島地裁前)

170330広島地裁伊方仮処分決定要旨

170330広島地裁伊方仮処分決定書(目録略)

170330伊方弁護団声明(広島地裁決定に)

広島地裁は、四国電力のいう基準地震動を「合理的」とし、原発に「極めて高度な安全性」は求められておらず、新規制基準を満たせば足りるとしました。この判断に至る枠組みを、川内原発の福岡高裁宮崎支部の決定に依拠したことも明らかにしています。上をみて、自立性を捨て去る異様な姿勢です。

棄却した一方で、裁判長は「基準地震動の合理性について確証を得るには、なお慎重な検討を要する」とし、本訴で審理すべきとしており、責任放棄と自信のなさがあらわです。

伊方原発をとめる弁護団と伊方原発をとめる会は、30日17時に、県庁記者クラブで記者会見を行い、以下の声明を発表しました。

2017年3月30日

伊方3号炉広島地裁決定についての声明

伊方原発をとめる弁護団
伊方原発をとめる会

  1. 本日,広島地方裁判所は,伊方原発3号炉について,運転差止を求める仮処分の申立を却下した。福島原発事故の悲劇に目を塞ぎ,福島原発事故を防ぐことができなかった司法の責任を忘れた許し難い決定である。
  2. しかも,その決定理由は,原子力規制委員会の審査に適合した原発については,審査基準に不合理な点がなく,基準適合性の判断に不合理な点がなければ原発の安全性が認められるとするもので, 福島原発事故以前の旧態依然とした論理に基づく,不当極まりない決定である。その上,基準地震動,基準津波,火山事象等について,四国電力や原子力規制委員会の考え方をなぞっただけに過ぎず,住民の権利を守るという視点は完全に欠落している。しかも,内陸地殻内地震についてのすべり量飽和の問題や入倉・三宅式の問題について,四国電力の想定の合理性について確証を得られなかったとしながら,本訴で審理すべきであるとして,その危険性に目を瞑ったことは看過し難い責任放棄である。
  3. 私達は,このような決定を断じて許すことは出来ない。
  4. 伊方原発は,我が国最大の活断層である中央構造線の直近にある上,南海地震の震源域にあり,地震による危険性は全国でも飛び抜けている。しかも,事故が発生した場合には,佐田岬の半島側に居住する約5000人もの人々が避難出来ないことも常識となっていると言って過言ではない状況にあり,閉鎖性水域である瀬戸内海が死の海になることは必定である。
  5. 伊方3号炉について,近々に松山地方裁判所において仮処分決定が予定されているが,松山地方裁判所では,高知大学の岡村眞教授が中央構造線の危険性を具体的に指摘するプレゼンを行っている。また,愛媛新聞が本年2~3月に行った県民世論調査では,実に89.0%もの県民が不安を感じ,68.4%もの県民が再稼働に反対の意を示している。
  6. 松山地方裁判所での仮処分決定では,中央構造線の危険性を直視した,地元県民の不安に応えた正当な決定がなされ,裁判所が基本的人権の擁護という本来の使命を果たすことを私達は確信している。

以上