9月25日、広島高裁第2部(三木昌之裁判長、冨田美奈裁判官、長丈博裁判官)は、伊方原発3号機の運転差止を認めた同部(野々上友之裁判長、太田雅也裁判官、山本正道裁判官)の即時抗告審決定を取り消し、住民の即時抗告を棄却する不当決定をしました。
決定は、火山ガイドに従えば「伊方原発敷地に原子力発電所を設置することは認められない」としながら、「社会通念を基準として判断せざるを得ない」としました。そして、社会通念については、国は破局的噴火に具体的な対策は策定していないが、国民大多数は格別に問題にしていないので、「その発生の可能性が相応の根拠をもって示されない限り」安全性に欠けるところはないとし、立証責任を住民側に負わせてしまいました。これは、総論部分で四国電力の側に「具体的危険性が存在しないことを主張立証(疎明)しなければならない」としたことにも反する、支離滅裂というべき論理矛盾を犯しています。
伊方原発をとめる弁護団と伊方原発をとめる会は、25日16時から、県庁記者クラブで記者会見し、「声明」を発表しました。
今回の高裁の決定は、火山事象について誤った判断をしている上、基準地震動についての判断もずさん極まりないものです。火山ガイドに従えば、「伊方原発敷地に原子力発電所を設置することは認められない」としたものであって、ほんらい「社会通念」というなら、国民の大多数は、危険な原発の再稼働に反対しており、火山ガイドの定めにより、伊方3号炉を運転してはならないことに変わりはありません。
「声明」は、四国電力は抗告審決定および本決定の指摘する危険性を直視し、引き続き再稼働させることなく、伊方3号炉を廃炉にすべきであると指摘しました。