スリーマイル島事故40年ー何も学ばず
第86回拡大幹事会での草薙事務局長挨拶です。
2019年4月11日
事務局長 草 薙 順 一
1979年3月28日スリーマイル島(米ペンシルベニア州)で、原発2号炉で、核燃料が半分近く溶融するメルトダウンが発生しました(TMI事故)。運転開始から3か月でした。放射性物質が外部に漏れ、周辺住民14万人以上が避難しました。この事故から40年が経過しました。この事故を「他山の石」として、人類が何かを学んだかといえば、残念ながら何も学びませんでした。多くの人々が避難しなければならない原発事故が、1986年のチエルノブィリ事故、2011年の福島事故と続きました。
アメリカの事故調査報告書によれば、事故の主たる原因は従業員の「操作ミス」で完了しています。
伊方原発1号炉の高松高裁判決は、TMI事故の主たる原因は、運転操作の誤りである。伊方原発の安全性の審査は、原子炉施設が安全性を確保しているかどうかを審査すべきものである。従って、TMI事故は本件安全審査に影響を及ぼすものではないと述べています(1984年12月14日判決・判例時報1136号)。
アメリカの事故調査報告書も、判決も原発の稼働が放射能を出し続けるという問題の本質には全く触れないのです。本質的に「原発が人類にとって危険なものである」という点には目をつぶったままです。人間の運転操作の誤りや、原子炉自体の安全性を問題としているだけです。これでは事故から学んだことになりません。事故を起こした2号炉のデブリ(溶融核燃料)が約1トン残ったままになっており、事故処理もいつ終るか分かりません。2号炉の隣りの1号炉は運転を続けていましたが、2019年9月末に閉鎖し、廃炉の予定でありました。ところが現在、1号炉の運転継続の可能性が浮上しています。その理由は、温暖化対策で原発はCO2を出さないとか、原子力の新技術開発などと述べています。州議会も連邦議会も後押ししています。
過去に何も学ばなければ、悪夢が現実になることを恐れるものです。
以上